【書評】『地図マニア 空想の旅』地図の神様が描く、イメージトリップの世界。
いい時代になりました。全国紙の書評欄で、今尾先生の本が紹介されるなんて。
地図イベントのトイレ(小)で、偶然隣りあいましたが、最初は全く気付きませんでした。地形図のような色合いとでもいうか、自然な雰囲気のかたですよね。尊敬を通り越えて崇拝に近い感情を抱いています。
本書は表紙の風合いから、国内だけのものと思われがちですが、いやいやかなりワールドワイドです。落合からバングラディッシュまで。
地形図だけで、旅をしてしまいます。みずみずしく。地図だけでイってます。この境地に至らないと本物のマニアとは呼べないんですね。
装丁も素晴らしい。とにかく持っておきたくなります。通勤の行きの電車の中で読むタイミングがなくても、カバンの中に手を入れた時になぜかそっと触りたくなる。小脇に抱えたくなる、買ったばかりの皮の財布をなんども撫でてしまうような感覚に似ています。
いつもの柔らかい文体。余計な装飾はありません。淡々と事実をイメージだけで書き綴っております。まずは買いましょう。それだけで地図の世界にイケること請け合いです。