地理本ジャーナル

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【地下鉄】大阪市営地下鉄の民営化は何をもたらすのか

日本最大のディベロッパーは、三井不動産でも三菱地所でもない。大阪市役所である。

関西地方の公務員業界で就職口を探していた頃に聞いた話だ。そしていまも大差がないだろうことはデータを見ればわかる。予算規模が圧倒的に巨大なのだ。

平成28年でその額は実に3兆7千億円。2位の横浜市が3兆4千億円だが、横浜市の人口は大阪市より100万人以上多い。面積で言えば20ある政令指定都市で下から4番目の225㎢。人にかかる予算に大差がないとすれば、この狭い市域にモノやサービスに関する予算がそれ以上に大量に投下されているということになる。

そんな「株式会社大阪市」の象徴ともいえる市営地下鉄がいよいよ民営化される。大阪市が全額出資する会社でスタートとか、敬老パスは維持されるだとか公営の色が濃く残るが、営業キロ都営地下鉄を凌ぐ公営地下鉄最長の129.9キロ。乗降客数では東急電鉄東武鉄道に迫る規模の巨大鉄道会社の誕生だ。

大阪市は成熟した都市であるし、先述のとおり市域が狭い。これ以上の路線建設は厳しいことを考えると、安全対策の充実、混雑の緩和等がまず求められて来ることになるだろう。

公営企業ではできなかった周辺事業への期待は大きい。大阪市の一等地を大量に抱える市営地下鉄ならではの事業環境では、自ずから不動産関連事業の開発が期待される。運行技術の輸出なんていうのも商材としてはありかもしれない。

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平成28年 東京メトロ事業計画より

先行企業と比較される東京メトロは、順調に業績を伸ばしている。東京メトロにも言えることだが、他の民鉄各社と比較すると、立地自体がドル箱状態なのだ。それに甘んじず、安全対策、混雑緩和策を行なった上で、関連事業への挑戦をたゆまず続けて欲しい。何と言っても地下鉄は都市観光の花であるのだから、頑張って欲しい。