地理本ジャーナル

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【書評】相続・贈与関係の不動産・税金についてはこれで十分『「親と実家」を考える本 by suumo 2017年版 (リクルートムック) 』

 

巷では、「大事な人が亡くなったら、こんな手続きが必要!」という感じの本がずいぶんと売れているようだ。大概は税理士や司法書士社会保険労務士らが分担して執筆している。

亡くなる人の数は急激に増えている。厚生労働省が発表している平成27年の「人口動態統計」によると平成10年に100万人だった死亡者数が、平成27年には130万人に増えている。死亡者の増加がこうした本の出版を後押ししている。

それに加えて、相続税の事実上の増税も効いているだろう。平成27年相続税法改正により、「基礎控除額の引き下げ」が行われた。この改正によって「相続税を払うべき」人が増加したこも影響しているだろう。

さて、前振りは長くなったが、しっかりした相続本を買わなくとも、今回ご紹介するムックで、結構な手続きや税の計算方法がわかってしまう。非常によくできた内容なのだ。

ご存知、リクルート社のムック本だから、中はほとんど広告。多くは不動産会社の広告だ。親から子への住宅を建てるための資金贈与は非課税になるなど、不動産を活用した節税は色々なものがある。アレヤコレヤと制度の説明と、綺麗いな二世帯住宅の写真で不動産の購買意欲の喚起と節税への強い欲望に十分応える内容となっている。

所々に配置されている、手続きは税の計算の話はわかりやすいし、様々な家族を例にして、最善の方法を提案してくれる。

広告たんまりなので、価格はたったの590円。当然スポンサーに気を使っているので、「不動産を使って有利に」的な論が多いわけだが、根本にある税法や民法の中身解説までは変えることができない。法律なのだから。税理士法人が監修したり執筆したりしていて十分に信頼の置けるものに思えた。

1000円以上する相続、贈与、遺言本を買うよりも、まずはこの手のムック本で基礎を学んだ方がいいだろう。どちらにしてもこれ以上込み入ったことを知りたければ、税理士や司法書士行政書士らに聞くしかないのだから。

大変お得な本だ。