【書評】紙とフォントの質感も秀逸!『散歩の達人POCKET 鉄トレ!―謎解き鉄道ミニトリップ』
ひさびさにジャケ買いならぬ装丁買いをしてしまった。ざらついた感触のイカした装いが目をひいた。みれば『散歩の達人』人気連載企画の書籍化だという。
内容はこうだ。鉄道作家、写真家の先輩(おじさま)が同じく作家(おばさま)の弟子に指令を出す。弟子はさまざまな条件をクリアしながら、首都圏の主要「のりてつ」的日帰り旅を完遂させるというものだ。正直「この師弟関係っていう設定は必要か?」と思わなくもないが、そこはご愛嬌。不思議な世界観が楽しい。1テーマが4ページにまとまっているのも読みやすい。
定番の「大回りねた」「盲腸線」あたりから「新がつく駅名の駅を回れ」といったちょっとかわったテーマまで全部で43。ゆるい世界観に似つかわしくない、「つまった」内容になっている。
内容もさることながら紙の質感がかわいい。再生紙のような軽い素材。インクの滲んだような風合いがいかにもおしゃれだ。丸いフォントも読みやすい。紙の本はこんなところに価値がある。
ここからの数ヶ月。まことに浮足立つ季節。小旅行ガイドにうってつけである。