【書評】新書というより教義書のような悟りの本 『仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える』(泉谷閑示)
「本当の自分」というものは、どこか外に待ち受けているものではなく、自分の内部を、「心=身体」を中心にした生き物として自然な在り方に戻すことによって達成されるのです。
結構、腹におちた一説です。一言で本書の論旨を言い表しています。
この内容を様々に表現。心理学者や芸術家の文章を引用したりして繰り返し語りかけます。考えるな、感じろ、と。
私自身が、なにかにはまった方が楽だと思うタイプだからでしょう。資格だったり学歴だったり、職業の内容だったりにいままでこだわってきたので、余計にこういう考え方が気になってしまうのです。
労働には自分の価値を体現する機能はないのですよ。わかっているんですけどね、どこかでは。けれど、それを求めてしまう多くの日本人に対して警鐘をならす書になっていると思います。
「即興」で行動する、「あえて面倒くさいことをやれ」というメッセージもささりました。ぱっと思い出すのはタモリの人生観。人生はジャズのようなものであると。型をもとめることは、自分を狭めている。型にはまりにいって、はまらなければ「何かが足りない」と悲観してしまう。そうですよね、そのとおりなんですよ。
このブログは、考えるより、感じることを書くことにしているつもりなのです。
正直な感想は、本書は繰り返しがくどく感じます。それはおそらく刺さりすぎるからなんだろうと思います。それくらい内面と向き合うことを要求される「良薬」。重さは軽く味は濃い一冊です。是非一度ごらんください。私も少しおいてもう一度よんでみます。