地理本ジャーナル

地理、鉄道、道路、地形、山、たまに政治経済。の周辺をとにかく紹介していくブログです。

【書評】会計士の不動産指南 未来の不動産取引を予言する『不動産屋にだまされるな』

 

出だしから中盤はそんなに目新しくない 

手数料が高い、不動産屋(宅地建物取引士)の報酬は弁護士並で高すぎる、情報の非対称性が高い(売り手に情報が多い状態)、という一般的な不動産業のネガティヴな面を、データを交えながら紹介するところから本書は始まります。

中盤は、公認会計士らしく相続、住宅ローン、金利の説明を交えていかにお得にマイホームを手に入れるかについても語ります。

現在のマーケットや今後の人口減少を考えても、金利や会計上の理論で行くと「買う」ほうが「借りる」より有利と筆者は語りますが、本書全体を読み進める限り、住宅取引自体に懐疑的にならざるを得ないネガな論調が続きます。

不動産テック!!

この本のハイライトは最後でした。「不動産業界は革命前夜」手数料を法外にとる現在の取引慣行は、技術革新によって多く是正され、売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人を直接結ぶようなビジネスや、極めて安価な手数料で仲介するビジネスモデルがあわられ、主流になっていくのではと著者は予測しています。こういう観点の本は不動産業畑の人の本には出てこない。他業界、会計士ならではの観点だと感じました。

不動産も個人間取引が主流になる?

ここからは私見。今更いうまでもありませんがAirb&bやUberに代表されるシェアリングエコノミー企業がどんどん成長していますし、メルカリなどのオークションサイトも堅調に業績を伸ばしいてるのは、消費者と販売者の垣根はどんどんと低くなっているからでしょう。

不動産業の役割も、基本的には個人、法人を結びつけること。インターネットのない世界では権威や世話焼きネットワーカーや専門業者が仲介するしかなかった。しかし仲介機能はインターネットが得意とすること。不動産の分野にも個人間取引が主流になっていくのは時代の必然ではないでしょうか。

次回は、不動産テクノロジーに絞ったテーマの作品を期待

Googleを初め名だたる会社がチャレンジしてなかなか上手くいかない不動産業の改革ですが、近い将来に大きな変化の波が押し寄せることは確実だと思います。そう感じさせる内容でした。次回作はこの変化「不動産テック」に絞って書いてもらいたいです。

新しい不動産業の輝かしい未来への期待を込めて、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。