《書評》「国籍」×「貧困」×「裏切」×「愛」のバトルロワイヤル、【新作】『ダブルマリッジ The Double Marriage』(橘玲)を一気に読みきる!
ダブルマリッジ The Double Marriage (文春e-book)
- 作者: 橘 玲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/01/24
- メディア: Kindle版
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発売日は今日!日付が変わった瞬間にダウンロード!朝の3時まで読み、さらに仕事の移動中、待ち時間で一気によみ切りました!
今回もストーリーのスピード感と臨場感はたっぷり。すーーっと、身近なグローバル世界に連れて行ってもらえます。フィリピン人と日本人の国際結婚がテーマ。一歩間違えれば自分にも起こりそうだと感じられるリアリティも楽しい。
加えて行政手続論、法律論が話の軸にしっかりある。背筋がピンとなるような品格と、こんなことできるんだ、という高い専門性が融合することで、固めの読後感も得られました。
「美しい娘」と「”逆玉”の妻」と暮らすエリートビジネスマンが主人公。娘に取りに行かせた登記簿謄本(全部事項証明書)にフィリピン人の”第二夫人”が記載されていることから話は始まります。
日本人同士の結婚であれば、複数の役人が記録を同時に見落とすような瑕疵がない限り起こり得ない「重婚」も、国際私法や国際社会の要請といった「外側」の論理、それに対応できない国内法制の不備が、思わぬ事態を巻き起こす。普通の人は知らなけいれど、説明されればあるかもしれないという絶妙な設定と心地よい場面転換が、ページをめくる速度を早めます。
中盤以降、主人公とその娘が主体を変えながら、「重婚」の謎を解明する旅が展開されます。東京、名古屋、福島、マニラを縦横に駆け巡った挙句、クライマックスは意外な結末に!
唐突な展開(特に終盤)や、若者ファッション・風俗に関する説明はちょっと、、と思うところもなくはないのですが、そんなもん差っ引いても、十分に楽しませてもらいました。みなさま、ぜひお手にお取りくださいませ。