地理本ジャーナル

地理、鉄道、道路、地形、山、たまに政治経済。の周辺をとにかく紹介していくブログです。

【鉄道】復刻青ガエルに遭遇

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去年9月から今年8月までの限定で復刻している旧5000系、通称「青ガエル」に遭遇。練馬駅

この塗料、幼少時代の東横線そのイメージである。他のブログなどを参考にすると1954(昭和29)年から東横線で営業開始し、1986(昭和61)年に引退したと。その後地方鉄道でも活躍したようだ。

種の保存法則!?で年々過去を過大評価し、引きずられ、懐かしみ、後悔しがちな中高年の乗り鉄化を意図して、こんな企画をどんどんやってほしいと切に願う。コストもそんなにかからなそうだし。

しらなかった!泉麻人さんの路線バスエッセイをWEBで無料でよめるなんて

hotweb.tokyo-np.co.jp

こんなすてきな連載があるなんて。路線バスエッセイ孤高の達人、泉麻人氏のエッセイが無料でたくさん読める。やるな東京新聞

連載を知ったきっかけは、前回の私の記事。「散歩の達人」様からツイッターのフォローをいただいたので、早速さんたつさんのアカウントをみにいったところ最新回のリンクが紹介されていた。

前回記事↓

 

jonjis.hateblo.jp

内容はお得意の1テーマ1路線(新聞連載だからそりゃそうだ)。氏の出身、東京城西エリア(中野、杉並、豊島)の路線や、東京駅→等々力などのべたなテーマがあるとおもいきや、今回は神奈川もカバー。根岸競馬場跡や宮ケ瀬ダムなんかが登場する。

筆致は安心の泉節。とぼけた雰囲気。おやじアメカジ。テレビ探偵団のテーマがふと頭をよぎる。とってもライトな読み味ですいすいと前進。情景もしっかり入ってくる。挿絵も手書きの風合いが古おしゃれである。この連載は楽しみだ。

そういえば泉さん、タモリさんによもやのことがあった場合、ブラタモリの後継者にいかがだろうか。

【書評】紙とフォントの質感も秀逸!『散歩の達人POCKET 鉄トレ!―謎解き鉄道ミニトリップ』

 

鉄トレ!謎解き鉄道ミニトリップ (散歩の達人POCKET)

鉄トレ!謎解き鉄道ミニトリップ (散歩の達人POCKET)

 

 ひさびさにジャケ買いならぬ装丁買いをしてしまった。ざらついた感触のイカした装いが目をひいた。みれば『散歩の達人』人気連載企画の書籍化だという。

内容はこうだ。鉄道作家、写真家の先輩(おじさま)が同じく作家(おばさま)の弟子に指令を出す。弟子はさまざまな条件をクリアしながら、首都圏の主要「のりてつ」的日帰り旅を完遂させるというものだ。正直「この師弟関係っていう設定は必要か?」と思わなくもないが、そこはご愛嬌。不思議な世界観が楽しい。1テーマが4ページにまとまっているのも読みやすい。

定番の「大回りねた」「盲腸線」あたりから「新がつく駅名の駅を回れ」といったちょっとかわったテーマまで全部で43。ゆるい世界観に似つかわしくない、「つまった」内容になっている。

内容もさることながら紙の質感がかわいい。再生紙のような軽い素材。インクの滲んだような風合いがいかにもおしゃれだ。丸いフォントも読みやすい。紙の本はこんなところに価値がある。

ここからの数ヶ月。まことに浮足立つ季節。小旅行ガイドにうってつけである。

【書評】社会にもっと猥雑を。風俗産業の政治経済史。硬派な読み応え。『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』(木曽崇)

 

騙される

はやりの煽り系題名からして、どうも軽めのエッセイ、根拠薄弱の雑誌記事的内容を予想していたが、いい意味で裏切られた。統計、法改正、行政の意思決定の変遷を根拠に、問題の背景、本質を丹念に記述している。そして未来への道筋も!。読み応えのある新書だ。

まちの有効活用

断っておくが夜遊びのお得情報はない。だが、夜遊びが人間にとってどれほど重要であるかはよくわかる。もちろん体に良いという意味ではない。経済にとっては遊休資産の効率的な運用になるわけで、低迷する内需の掘り起こし、ナイトライフに不満を持つ外国人に対する有効な処方箋として、夜の経済を利用する価値は高いのだ。

リスクとの共存を

ただ、著者も述べているように、飲酒を伴う娯楽には犯罪を誘発する危険がともなう。ところがだ、今までの行政、というか日本人の備えている防衛本能が微細なリスクを必要以上におそれ、多くの規制を生み出してきた。行き過ぎたルールの多くは、国民の過剰反応の産物だ。行政が上から押し付けることはできない。そもそもいまの行政機関に都市伝説的な、陰謀めいた「策略」を巡らせる余裕も、能力もない。成熟した国として、夜の娯楽にもっと余裕を持って対応したいのだ。

まちにもっと猥雑さを

十分な根拠と丁寧な説明を重ねることで、過剰な防衛反応を抑え、あらたな規制を撤廃する。あるいは適切なものへと変えていく。街に、ある種の「猥雑さ」取り戻す。著者の思いは熱い。

渋谷区長や福岡市長など40代の新しいリーダーが、猥雑さとリスクの共存にチャレンジしている。街の熟成には時間がかかる。人のイヤラシイさや本音がみえない街は、一見すると美しいが弱い。人をまちに惹きつけることの本質を、綺麗事抜きに議論するための発射台として、本書はうってつけだ。まちづくり系の話題に興味ある人全般にオススメできるなかなかの好著である。  

【地下鉄】毎日新聞も期待。大阪市営地下鉄の民営化が、さらに大阪の中心を熱くする

そう思います。4月にいったけど、以前よりとにかく活気があった。私だけでなく、あの毎日新聞も期待しています。安全運行以外には、都市開発。大阪城公園の大胆な官民連携を考えた大阪市。いまならできそうな期待感があります。

jonjis.hateblo.jp

 

 

【スタジアム】DeNAはハマスタとともに生きるのか 増改築費用の肩代わりで増改築後40年のスタジアム管理を市に要求

www.yomiuri.co.jp

さらに40年の契約更新

2017年3月に発表されていた、横浜スタジアムのリニューアル構想の続報です。「横浜スタジアム」増改築(6千席増設)の建設費を「株式会社横浜DeNAベイスターズ」の子会社でありスタジアム運営会社でもある「株式会社横浜スタジアム」(ややこしい・・・)が肩代わりする。その見返りとして向こう40年間のスタジアム管理を要求するようだと複数のメディアが報じています。この提案に対して、横浜市は前向きな姿勢を示しているとのこと。

www.nikkeibp.co.jp

開場時と同じ手法「公設民営」

今回の増改築を、ハマスタが開場した当時と同様、事実上の「公設民営」という手法を使うようです。民間企業(横浜スタジアム開場時は、第三セクター)が建設し、竣工と同時に市に寄付する。その見返りとして建設した民間企業がスタジアムの優先利用権を得る。つまりハマスタの所有権自体は市にあるものの、実際の管理運営は民間企業である株式会社横浜スタジアムが行う、という手法です。f:id:jonjis:20170515234512p:plain

 横浜スタジアムの事業運営スキーム

(出所:公共施設・インフラの改修、維持保全へ のPPP(Public Private Partnership/ 公民連携)導入に向けた共同研究報告書  横浜市みずほ証券株式会社

 

横浜のまちとともに

株式会社横浜スタジアム横浜市は、昭和52年(1977年)12月から平成34年(2022年)に渡る45年間という長期の管理運営契約(下記参照:「横浜スタジアムの建設及び管理運営に関する協定」)を結んでいます。ベイスターズが長期にわたる赤字を垂れ流した大元と言われる契約です。※ベイスターズと株式会社横浜スタジアムとの契約ではありませんf:id:jonjis:20170515235529p:plain

協定書(1ページ目抜粋)

(出所:横浜市ホームページ 

http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j1-20120619-so-41.pdf

今回の契約はどこから起算して40年なのかはわからないのですが、スタジアム管理自体をさらに40年更新するということなのでしょうか。

だとすれば、「横浜とともに生きる」。DeNAはそう考えているのでしょう。JR関内駅至近という立地。ボールパーク構想にあるように日本大通りハマスタが「つながる」ような演出ができれば、世界にも類をみない、海と街と人と野球が一体化するすばしいスタジアムになるでしょう。期待が高まります。

 

 神奈川県庁から大桟橋方面を。観光客で賑わう。

同じく神奈川県庁からハマスタをのぞむ。5点差をひっくり返した東京ヤクルトスワローズ戦が行われていた。

【スタジアム】大阪のスタジアムが熱い。セレッソのホームスタジアムも改修され大阪ダービーが一層加熱する

www.sankei.com

Jリーグ屈指の人気カード、セレッソ大阪ガンバ大阪のいわゆる「大阪ダービー」が3年ぶりに開催された。大いに盛り上がったようで観客はなんと4万人超え。いやーさすが。日本第二の都市で行われるダービーマッチの面目躍如といったところだ。

その両チーム、今、ホームスタジアム改革を進めているのだ。

今や日本最高のスタジアム?ガンバの素晴らしき「家」

ガンバ大阪のホームスタジアムは昨年開場した市立吹田サッカースタジアム。ピッチが近くて、とても臨場感のある観戦が楽しめる。素晴らしいスタジアムだ。吹田はガンバが中心となって寄付を募り建設。スタジアムを市に寄付し、自らが指定管理者になることで、所有権は市にありながら、あたかもクラブが所有しているかのように改修なり、スタジアムでの物販収入を得ることができる。もちろん市への上納金が発生するわけだが、公共物を利用しながらビジネスを行える手法として特にスポーツ施設の民間委託に利用されている比較的新しい手法だ。同じくJリークでは、鹿島アントラーズが、プロ野球では千葉ロッテマリーンズなどが利用している手法でもある。

指定管理者解説↓

横浜市 指定管理者制度関連情報 指定管理者制度とは

ガンバ大阪のビックスポンサーはパナソニックである。親会社の技術を十分に活用した施設の追加をクラブ社長自ら匂わせている。これはめちゃくちゃ楽しみである。

headlines.yahoo.co.jp

「サッカーを見て楽しむという意味では日本屈指。どこから見てもすごく近いですし、きっとまた訪れたくなる場所だと思うんです。そこに加えて、音と光の演出。いま、世界的にスタジアムのスマート化の流れがきている。パナソニックのノウハウを活かして、さまざまな試みを仕掛けていきたい。ひとつのショーケースとしていち早く我々が導入して、それがいろんなスタジアムに展開されていけばいいですね。安全、快適、楽しい。是非足を運んでいただきたい」 山内隆司社長 インタビュー より

美しき桜のスタジアムを。セレッソの「屋根」

一方のセレッソも、昨年の4月から長居スタジアムのある長居公園の指定管理者になった。これである程度自由にスタジアムの改修ができるようになる。ヤンマースタジアム長居は、2002年のサッカーW杯でも利用された由緒ある、国内屈指のビッグスタジアムだ。だがしかし、陸上競技場であるがゆえに、サッカー専用スタジアムと比較してしまうと観戦の臨場感に欠けるところがあった。

www.sankei.com

ところが、セレッソも進めていたのだ、新スタジアム計画。これは私、全く知らなかった。隣の球技専用競技場キンチョウスタジアムの改修が進められていた!びっくりである。

j2tsushin.blog.jp

これが、またえらいカッコいい。ヨーロッパスタイルというかアシンメトリーな感じがなんとも。こちらも市民の寄付を募って建設。セレッソが指定管理者である2020年までに完成させて大阪市に寄付をする方法を取るようだ。かなりガンバに似た方法だ。長居公園は、地下鉄御堂筋線を使えば大阪市の中心部からのアクセスがすこぶる良い。梅田から21分。吹田に比べるとこれは随分大きなアドバンテージだ。

関西が盛り上がらな、日本のスポーツ界は盛り上がらん

ガンバは着々とビッグクラブへの道を進んでいるように見えるが、セレッソは今一つ安定感にかける。しかし、香川、清武、乾、柿谷とキラ星のような選手を輩出する素晴らしい育成機能を持ったクラブだ。両者が切磋琢磨して、西のプロスポーツを盛り上げることがとても重要なことだと思う。阪神タイガースだけではないんだぞと。

その舞台が順調に整備されていることは日本のスポーツビジネスにとっても意義深いことのはずだ。とにかく楽しみに完成を待ちたい。